アフガニスタンの大使館職員に薦められた店に行ってみた / ナンが全てを包み込み、おっさんが「ンフフ」と啼く夜

1カ月以上も前になるが、アフガニスタン大使館を紹介した記事を覚えているだろうか。一体何のことやらという方はこちらを読んでいただきたい。さて、大使館にて色々説明を受けるうちに本物のアフガニスタン料理を食べてみたくなった筆者。オススメのレストランを聞いたところ、ガチアフガニスタン人の口からある1件のレストランの名前が出てきたのだ。

それが、東京は東中野にある「キャラバンサライ パオ」というお店。実際にいって色々食べてみたのだが、料理がウマかったのはもちろん、雰囲気も最高でテイスティかつエモーショナルな時間を過ごすことができた。詳しい理由は後述するが、割と真剣に東京観光の際の食事どころなんかにしてもいいと思えるレベルだった。どんな感じだったか紹介するぞ!

・アフガニスタン料理屋じゃなかった

まず真っ先にお伝えしたいのが、アフガニスタン料理屋じゃなかったという点。筆者も最初はアフガニスタン料理屋だと思っていたし、注文したものの中にはアフガニスタン人が「アフガニスタン料理」と呼ぶものもあった。

しかしアフガニスタン料理屋なのかとなると、やはりそういうわけではなく、もっと広い範囲をカバーしている。具体的にはパキスタン、アフガニスタン、イラン、イラクとその周辺。そしてもちろん日本のテイストも。

そんな感じで、ぼんやりと南から西よりのアジアをベースに、世界地図のあの辺の料理が良い感じに日本人の口に合うように調整されてる感じ。お店で責任者の方に「何の料理屋って表現しましょう」と聞いたところ「お任せします」なんていわれてしまって、記事を書く上でたぶん一番困ったポイント。

なお、お店の外の看板では「西域的」という言葉を使っていた。「西域」と書いて「さいいき」とよむこちら。単純に西の方を示す言葉だと思っていたが、調べたら古代中国人が中国よりも西にある国を呼ぶ際の言い方だそうだ。なんだか雰囲気あるワードだが、今回においては実に便利である。筆者もこの言葉を使わせていただこう。

ということで、これから色々食べたものやお店の雰囲気を紹介していくわけだが、アフガニスタンじゃないものも出てくるのはそういうワケだ。まあ食べる側からすれば、日本にいては中々縁遠い文化圏の料理を、特定の1国に限定せず幅広く食べられるというのは嬉しいことである。

・東中野駅西口駅前

まずは場所だが、JR東中野駅西口の駅前。出てすぐの大きい通りを渡ってすぐという好立地である。冒頭で東京観光の際にもわりとお勧めなどと書いた理由の一つは、このわかりやすさにある。東中野駅は新宿駅からすぐだし、土地勘が無くても余裕だし、観光客的にこういうアクセスのシンプルさって重要じゃない?

・席の種類が豊富

いざ駅からお店の前にいくと、通りに面して屋台的な席が展開されている。最初は別の店舗かと戸惑ったが、同じお店だ。この日は少し肌寒かったのだが、そういう時は透明なビニールのカーテンで覆ってくれるから安心して欲しい。

そして店内にはシブい雰囲気のカウンター席&テーブル席と……

靴を脱いであがる、絨毯が敷かれた座敷的なスペースがある。この辺は好みに合わせてチョイスすればいいだろう。今回は絨毯スペースの、なにやらアナグラのような壁際の席に案内してもらった。これが雰囲気バヅグンで、良い感じに落ち着けてよかった。

・アヤシイ調度品

また店内には全体的にアヤシイ調度品が沢山陳列されている。

なんでも不定期的に「西域」あたりまでフラッと出向いて、それっぽいブツを買い込んできているそう。実に楽しそうである。というか、やってて楽しいんだろうなぁ。健康的な働き方でうらやましい限りである。

・料理はガチ

こんな感じで、店内の様子については大体お伝えできたのではないかと思う。どう? こういういきなりな異文化感ってエモくない? 個人的に、近所にあれば雰囲気だけで間違いなく通うだろう。

しかしまあ花より団子という言葉もある。いいからさっさとメシを出せと、ウマいかどうかが重要だと、そういうのもあるだろう。安心して欲しい。先に一言でまとめてしまうが、マジでウマかった

ちなみに今回は筆者を含めて3人で来店。注文したのは1品を除いてほとんどお店任せ。予約時に明確に指定したものは、アフガンマントゥ(480円)という料理だけである。なぜそれだけ予約してまで指定したのかというと、そもそものきっかけになったアフガニスタン大使館で食べるよう言われたからである。

どんな料理かというと、水餃子というか、小籠包というか、その親戚みたいなヤツにヨーグルトのソースがかかっているという異文化レベルが高い一品だ。我々日本人の食文化的に、餃子的なものには総じて醤油やラー油、あるいはポン酢など、赤茶色いものをぶっかけると決まっている。

しかしアフガンマントゥはヨーグルトソース。白、ホワイトである。もうソースの色だけで抵抗を感じるかもしれない。だが安心して欲しい。マジでウマかった

ちなみに筆者は以前、ガチなトルコ料理として海外で似たようなものを食べたことがある。その時はヨーグルトソースの酸味が強めで、筆者は大丈夫だったのだが共にいた別の日本人の口には合わなかった。今回ももしかしたら、同席している2人は駄目かもしれない。

そんなことを危惧していたのだが、二人ともウマいウマいと語彙力少なめにひたすら食っていた。筆者的にもプリプリの餃子的な部分とトマト、バジル、そしてヨーグルトソースのマッチングは万人ウケすると思う。

手ごろなお値段とボリューム

他に出してもらったのは、まずナン。普通のナンだが、これがとても重要なのだ。理由はあとで。

そして、カバブコフタという、肉の串焼き。(1串300円)

オクラとトマトという意外な組み合わせが我々一同をザワつかせたバーミヤ。(750円、小は400円)

パニールという自家製の非熟成チーズ。(650円)

そして、羊肉がごろごろ入ったパシュトゥンカラヒィ。色々なスパイスとトマトと羊肉の鍋的なものだ。(2~3人前で2900円)

おっさん3人で行ったが、あとはほとんどお酒とデザートだけでお腹いっぱいになった。ボリュームはそこそこあると思っていただいて大丈夫だ。お値段的にも普通に居酒屋などで飲み食いするのと似たようなもの。珍しい異文化料理となると割高になりそうなものだが、イイ感じのプライスだと思う。

・ナンで包むスタイル

さてさて、これらの料理。全てそのまま食べてもちゃんとウマい。ちゃんとウマいのだが、お勧めしたい食べ方がある。お店の方に教えてもらった受け売りなのだが、とにかく最高なのだ。

手順としては、まずはナンをちぎる。ナンだけでもサクサクふわふわでウマいし、そのまま食っていたくなる。しかしここは我慢して、ナンを手ごろなサイズにちぎるのだ。

次に串焼き肉の好きなものを、ナンで挟み串から引き抜く。アメリカンなBBQやジャパニーズ焼き鳥とは比べ物にならないくらいガッツリと串に刺さっているこちら。焼き鳥のように箸で引き抜くのは硬すぎて困難だが、ナンで挟めばスマートに抜けるのである。

そして……食う! ここは思いっきりいくといい。マナーとか気にしたらダメである。全力で、ほお張れる限りいくのだ。

すると「ンッフフフフフ~ン♪」となるのである。

もう一度行くぞ……? ちぎったナンで包む

食う!!

ンッフフフフフ~ン♪

ウマさで静かな笑いが自然と湧き出てくる感じ。お分かりいただけるだろうか? しみじみと染み渡るウマさにであったとき特有のムーヴである。ちなみに、包むものは肉だけでなくてもいい。

というか、全部ぶちこんで包んで食うとウマい。アフガンマントゥは流石に包まなかったが、パシュトゥンカラヒィとかもナンですくって食うとウマい。もし白米とかだったらコレジャナイ感があったと思う。先にナンが重要だと書いたのはこういうことだ。ナンが正しいのである。

ちなみにデザートにも、ムハレビ(450円)という聞きなれないものが。こちら米で作るプリン、つまりはライスプディングのトルコ風のものだそうだ。食べ応えというか、同じ体積に対しての比重は普通のプリンよりもある気がする。素朴な甘みでウマかった。

ということで、元々は「アフガニスタン料理を食いたい」というところから始まったものが、実際にいってみたらもっと広大な食文化を体験させてくれた東中野の「キャラバンサライ パオ」いかがだっただろうか。

筆者が滞在している間にも、やはり外国人の来店が多く、その界隈では知られているのであろうことをうかがわせた。流石はわりとイイものを食っていて筆者なんかより舌が肥えているであろう大使館の駐在員が薦めるだけのことはある。

その割に、お値段はリーズナブルで居心地も雰囲気も最高なこのお店。奇しくも、筆者の隣のテーブルにも初来店と思しき若者グループがいたのだが、彼らの1人が帰り際に「ここウメェなぁ……また来るわこれ」と、ボソッとつぶやいていたのには同意しかなかった

基本的に「何でもある」と言われる東京においてもレアな「西域的」料理だが、全くトガりすぎていたりすることは無く、素朴かつ確実に脳のうま味センサーをモミほぐしてくる穴場だ。たぶん全国的にもこの系統の店自体そんなに無いのでは? 行動圏内の方はもちろん、東京観光に来た方もこちらで「西域」を体験してみてはいかがだろうか。ンッフフフフフ~ン♪

・お店の情報

店名 キャラバンサライ パオ
住所 東京都中野区東中野2-25-6
営業時間 17:00~24:00(日祝日は23:00まで)

参考リンク:キャラバンサライ
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.


Source: ロケットニュース24